■ごあいさつ 2011年3月3日 会社設立に際して

代表取締役 粟井郁雄
- 粟井は永年マイクロ波回路(主として)受動回路の研究に従事してきましたが、ここ2年間はその経験を生かして一見全く関係のなさそうな無線給電システムの研究に没頭しました。それはこのシステムの構築にはマイクロ波回路研究の方法論が有効である事に気付いたからです。
- 無線給電システムには古くから研究/応用されている電磁誘導方式や、国民生活に入り込んではいないけれどもよく知られているマイクロ波送電方式などがあります。ところが2007年に米国マサチューセッツ工科大学のグループによって発表された”磁気共鳴方式”は2つのコイルを使い2m離れた電球を点燈させるというデモ実験によって世界中を驚かせました。「そんな簡単な装置で電気を無線で送れるのか」という驚きは世界中の研究者/技術者をこの分野へと向かわせたのです。
- 我々は3年前にこのシステムの写真と論文を見て「なんだ、これはマイクロ波通信方式で使う帯域通過フィルタと同じではないか!」と気がつき、その原理によって「移動しながら給電できればもっといいな」と考えた結果、矢張りマイクロ波通信で使う方向性結合器が利用できることに気が付いたのです。そして2年前から本格的に研究をはじめたわけです。
- これらの理論はかなり難しいものです。何といっても「マクスウェルの方程式」という連立ベクトル偏微分方程式に支配される電磁気学の世界だからです。世界中の大学の電気・電子系学科で先生達が「電磁気学を学生に理解させるには100年かかる」とため息をつくほどですし、また私自身も100%理解しているとは思っていません。
- しかし有難い事に最近のコンピュータの進歩によりマクスウェルの方程式を手早く数値的に解く事ができるようになりました。その結果を的確に判断する能力さえあれば様々な新しい知見が手に入ります。(方程式が立てられてから100年以上過ぎても未知の結果が得られるのは、いかにこの方程式が真理を深く把握しているかという意味で驚異的です。)我々はこの結果を実験によって確かめつつ、新しい理論、設計法、システムの構築を進めてきました。
- 更にそれらを発展させるため2011年3月より(株)リューテックを立ち上げました。これまでの経過を踏まえ、龍谷大学瀬田キャンパス内にオフィスを設置しており、理工学部石崎研究室と協力しながらシステムの開発を進めていく所存です。どうぞ当社の業務内容を御覧の上何なりと御相談下さい。
■代表略歴
昭38年 | 京大・工・電子卒 |
昭43年 | 同大学院博士課程了 京大助手 以来マイクロ波帯における磁気波の研究、光集積回路の研究に従事 |
昭59年 | ㈱ユニデン技師長 各種無線機の開発を担当 |
平2年 | 山口大・工・教授 静磁波デバイス、誘電体フィルタ、平面形フィルタ、超伝導フィルタ、人工誘電体の研究に従事 |
平16年 | 龍谷大・理工・教授 共振器、フィルタ、メタマテリアルのマイクロ波応用、無接触電力伝送の研究に従事 |
平23年 | 株式会社リューテック開業 |
平14電子情報通信学会論文賞受賞 同学会マイクロ波研究専門委員会委員長、IEEE MTT-S Japan Chapter Chairman, IEEE Hiroshima Section Chairman, IEEE MTT-S Kansai Chapter Chairman を歴任 電子情報通信学会フェロ-、IEEE Fellow |